本多静六という人物を知っていますか?
本多静六とは?
慶応2年埼玉に生まれ、11歳の時に父を亡くし、少年時代〜学生時代にかけて、ひどい貧乏生活をしながら苦学を続け、25歳で東京大学助教授となりました。
その後、教鞭を執るかたわら、東京の日比谷公園や明治神宮、大阪の住吉公園、北海道の大沼公園など、多くの公園設計に携わり「公園の父」と呼ばれた人物です。
そして、本多静六をさらに有名にしているのが、貧乏農家に生まれながらも、徹底した倹約と分散投資で40代にして今の価値で100億円相当の資産を築いたからでしょう。
370冊ほどの著書を残し、今でも多くの成功者に読まれております。
その中でも「私の財産告白」は、私は初め図書館で借りて読みましたが、その後どうしても欲しくて、購入してしまったほどです。
まさに私のバイブル。
既に初版より70年ほどが経過していますが、ぜひ一度は読んで欲しい一冊です。
本多静六に学ぶ貯金の仕方
貧乏から抜け出す方法
本多静六は25歳の時、大学助教授となり、その当時既に一家を構えていましたが、普通に暮らしていける給与があったそうです。
しかし、どこからか噂を聞きつけ大変な高給取りになったと思われ、至る所から家族が集まってしまい、総勢9人の大家族を養うことになったそうです。
こんな大人数を抱えていたら、いつまで経っても貧乏から抜け出せないと思った本多静六は、貧乏から抜け出すためにこう考えたそうです。
貧乏を征服するには、まず貧乏をこちらから進んでやっつけなければならなぬと考えた。 貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤倹貯蓄をつとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなけれなならぬと考えた。ー中略ー苦しい苦しいで普通の生活を続けて、それでもいくらか残ったら・・・と望みをかけていては、金輪際余裕の出てこようはずはない。貧乏脱出にそんな手ぬるいことでは到底ダメである。
「私の財産告白」より
苦しいと言いながら「普通の生活」を続けて、いくらか残ったら貯金しようという考え方では、いつになっても貧乏から抜け出すことはできないと言っていますね。
私もこれには激しく同意見です。
人は本来稼いだら稼いだ分だけ使ってしまうという性質があります。
この性質には「パーキンソンの法則」という名前までついています。
つまり、人は自発的に生活を切り詰めない限り、貯金をすることは難しいのです。
これには高い自己コントロール能力が必要不可欠です。
これが「貯金は難しい」と言われる所以でしょう。
本多式1/4貯金法
本多静六は、貧乏をやっつけるために、収入の1/4を先取り貯金し、臨時収入も全て貯金し、収入が少ないわけでもないのに、あえて自ら極貧生活をしたそうです。
その方程式は↓
これは現代でも真似が可能ですね。
定期収入の1/4とボーナスを先取り貯金すれば良いのです。
当時、本多静六は貯金のために自発的に相当苦しい生活を送っていたようで、我が子に胡麻塩おむすびばかりを食べさせていたとか。
月末になるとその現金がなくなってくるので、毎日胡麻塩ばかりで済ましたことさえある。それでも大人たちはなんともなかったが、頑是ない子供たちは正直だ。「お母さん、今夜も胡麻塩?」などと泣き顔をした。それを家内が、「もう3つ寝るとオトトを買ってあげますよ」となだめなだめしていたが、私は平気とは言いつつ、さすがこれには断腸の思いをした。しかし、私のこの計画は、あくまでもしっかりした理性の上からきている。気の毒だとか、かわいそうだなと言う事は、単に一時的なことで、しかもつまらぬ感情の問題だ。この際この情に負けてはならぬと歯を食いしばった。
「私の財産告白」より
このような自発的に行う厳しい貧乏生活を経て、数年後には、その貯金が複利で増え、利子が生活を助け始めたそうです。
当時とは違い、現代では銀行へ預けていても利子はほんのわずかであるし、投資信託やETFなど、幅広い銘柄に少額から分散投資を行える仕組みが整っているので、貯金ではなく、つみたてNISAやiDeCoなどの節税制度を使い、手数料が安く複利で長期運用が可能な商品を購入するのがベターでしょう。
本多静六の並外れたストイックさには脱帽します。
やはり、40代で100億円以上の資産形成をするには、これくらいのストイックさが必要なのでしょう。
ちなみに、我が家ではおよそ月収の4〜5割とボーナスを強制先取り貯金しています。
(食事は普通ですw)
学ぶべき貯金の仕方
ここで実行しているのは、収入が少ないわけではないのに、わざわざ自らの手で貧乏な状態にしているということです。
「人は人生に一度は貧乏な状態を経験すべきだ」とも本多静六は言っております。
私もそれに同感で、サラリーマンでマイホームを買って、マイカーも買って、子供にもそれなりの教育を受けさせて・・・などといわゆる「普通の生活」をしながらでは、お金持ちへの道のりはかなり遠いものと思っています。
もちろんプレゼントや交際費などをケチるのではなく、あくまでも節約するのは自分自身。
住居費用を抑えたり、保険や車、衣服など、足るを知ることが重要です。
世間から見ればケチと節約は、同じものと捉えられるかもしれません。
でも違います。
ケチは周りに対しても節約すること。
節約は自分自身のみ。
節約は必ず大きな成果を与えてくれます。
せっかく稼いだお金も、ただ使ってしまったら意味がありません。
身の程を知り、それ以上を望まない身の丈に合った生活が、豊かに生きるということであると思います。
本多静六に学ぶ投資の仕方
まずは貯金が第一関門
それが、私の場合でも、前に述べたようにわれながら驚くほどの結果となったのは、貯金とアルバイトの集積が、雪達磨の芯となって次第次第におおきくなってきたためである。
つまりは、何人も「貯金の門」をくぐらずに巨富には至り得ないのである。
「私の財産告白」より
例えば、100万円持ってる人が年利5%で運用しても、1年でたった5万円しか増えません。
同じ運用方法でも、1億円運用したら1年で500万円も増える計算になります。
つまり、元手は多ければ多いほど投資効率が良いということになります。
「雪だるまの芯」を作るために、初めは多少無理な倹約をしてでも貯金をする。
本多静六は自らの生活をあえて極貧生活にして「雪だるまの芯」を作ったといいます。
雪だるまの芯 = 種銭が多ければ多いほど、効率よくお金が増やせることを知っていたのです。
分散投資
本多静六はどんな投資をしたのでしょうか。
私が最初に選んだのは日本鉄道株であるが、その後私鉄には漸次大きな将来性が認められなくなったので、瓦斯、電気、製紙、麦酒、紡績、セメント、鉱業、銀行など三十種以上の業種にわたり、それぞれ優良株を選んで危険の分散に心掛けた。
これもみなある程度の成功を収め、のちには私の株式総額財産は数百万円にも達するに至った。
「私の財産告白」より
つまり、特別なことはしておらず、30種以上の業種の銘柄に分散投資したということですね。
これはまるでインデックス投資そのものだと思いませんか?
現代では、投資信託やETFなど、分散投資を100円という少額から手軽に行える方法が存在しています。
100年前のように、投資資金が貯まるまで待つ必要がないのです。
つまりは、本多静六の投資法を今すぐに誰しもが簡単に始められるということです。
もし天国で本多静六が現代を見ていたら、そんなに簡単に分散投資ができるなんて良い時代だな~なんて思っていそうですね。
長期投資
分散投資と同じように、大切だと言っているのが長期投資です。
何事にも「時節を待つ」ということだ。
焦らず、怠らず、時が来るのを待つということだ。投資成功にはとくにこのことが必要である。
好景気時代には倹約貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返す。
「私の財産告白」より
これも今の時代にも当てはまることです。
長期投資の基本スタンスは、普段ある程度相場とは距離を取り、下落相場ではすかさず買いに行く。
そして利益が沸いてきたら、利確する。
でもこの当たり前をさせてくれないのが、投資。
相場を読んで売り買いすれば、失敗する可能性は高くなります。
相場は予測不可能です。
なぜなら相場は人間の心理戦だから。
そうなれば、コツコツ積み立てて、お金が本当に必要になった時以外絶対売らないインデックス投資が万人にとってはベターということです。
個別銘柄に関しては、取引ルールを決める
上昇相場で含み益が増えれば、もっと上がるんじゃないか、と思ってしまうのが人間です。
そのうち下落相場に反転し、含み益が減れば、さっき利確すればよかったな、もったいない、と思い次の上昇を期待してしまいがちです。
そうしているうちに大きな下落になっていき、一時あった含み益が綺麗さっぱり無くなってしまい、むしろ含み損ができてしまった、なんて人も投資初心者の頃には多いはず。
ギャンブルでも同様のことが言えますが、勝っているときに中断することは、負けているときに中断することよりも難しいことなのです。
投資格言でもある「もうはまだなり、まだはもうなり」
「株価がもう下がりきって底をついていると思ったときは、まだ下がるのではないかと考えなさい。まだ底をついておらずさらに下がると思ったときは、もう底をついているから上がるのではないかと考えなさい。」
これこそ、人間の欲深さを律する格言ですね。
どうしたら自分を律することができるのでしょうか?
その答えは、一定の利益が出た時点で機械的に売り、利益を確定させる取引ルールを決めることです。
上がるか下がるか予測不能だからこそ、人間の欲望に打ち勝つべく、ルールに従い取引をするのです。
本多静六のルールは「2割利食い、10割益半分手放し」だそうです。
2割上げれば利益確定をし、それ以上は欲を出さない。
これが「2割利食い」ルールです。
もっとも本多静六が実際に行ったのは先物取引であったため少し事情は変わりますが、ある一定の基準(2割で利益確定)を決めて機械的に売買していたそうです。
人間は欲深いですから、2割の利益確定後も右肩上がりになるチャートを見て「早く売りすぎたな」と後悔してしまうものです。
しかし、大事なのは決めたルールは必ず守ることです。
「利益を確定できてよかった、次は何に投資するべきか、それとも現金貯金しておくべきか」という思考にチェンジしましょう。
長期保有を決めた銘柄も、株価が倍になっていれば半分を売り、まずは元本を確保する。
これが「10割益半分手放し」です。
タダで手に入れた残り半分は上値を狙うべく、長期保有し続ける。
タダの株なら下がっても損しようがないし、上がればそれはそれで良い。
これで元本を確実に減らさずに投資を長期で安心して続けることができるのです。
このルール決めは人により異なると思います。
私は本多静六の「2割利食い、10割益半分手放し」ルールに従い、全て指値で株取引をしています。
株取引に自分の感情は絶対に入れません。
何割で利食いするのか、何割で損切りするのかなどは人それぞれ違います。
自分のベストなルールを設定しましょう!
まとめ
本多静六の貯金術や投資術を聞いて「目からうろこだ」と言う人はいないでしょう。
なぜなら、当たり前のことを当たり前のように続けているだけだからです。
お金は使わなければ貯まるのが当たり前ですし、この貯金術も本多静六自身の発明ではなく、すでに2500年も昔にお釈迦様がお経の中でも説いており、江戸時代でも推奨されてきた方法です。
分散投資も長期投資も投資の世界では当たり前です。
でも、巨万の富を得た人がいる一方で、それができなかった人がいることも事実です。
要するに、やるか・やらないかが分かれ道と言えるでしょう。
参考にすべきところは、自ら望んであえて貧乏生活を送ることで、種銭をいち早く貯め、そのお金が働いてお金を稼ぎ資産形成を成し遂げたところでしょう。
収入の1/4とボーナス全額を先取り貯金する、長期分散投資をするという本多静六の資産形成の方程式は、現代でも今すぐに実施可能です。
さらに現代では長期分散投資がかなり簡単に始めることができるようになっています。
やるか・やらないかで将来の差は大きく広がってしまうことでしょう。
さあ、さっそく今から始めてみましょう!